不動産の「仲介手数料無料」って本当にお得?注意すべき4つのデメリットと対処方法

近年、よく見かけるようになった仲介手数料無料の広告。
マイホームを購入する際に、これまでは必ず必要だった費用が無料だと書かれていても、何か裏があるのでは?と考える方のほうが多いのではないでしょうか。

実は、買主から受け取るべき仲介手数料が無料になったところで、物件の売主から仲介手数料を受け取ることができれば、不動産会社の利益が無くなるわけではありません。
しかし、仲介手数料を無料とすることで不動産会社の利益は減ることになりますから、以下のようなデメリットが隠されている場合もあります。

  • 仲介手数料以外の名目(事務手数料や書式代)で料金を徴収している
  • 契約前後のサービスが手抜きである
  • 購入対象となる物件がほとんどない
  • 売買代金に上乗せされている

この記事では、仲介手数料無料でマイホームを購入する際の4つのデメリットやそのデメリットについての対処方法、仲介手数料が無料となるメリットとその理由、そして、仲介手数料無料物件を扱う不動産会社の選び方について、分かりやすくご説明していきます。

仲介手数料無料で考えられる4つのデメリットと対処方法

先に取り上げた4つのデメリットについて、その内容を詳しくご説明していきましょう。実は、それぞれのデメリットについては、未然に防げるものばかりなのです。

仲介手数料以外の名目(事務手数料や書式代)で料金を徴収している

マイホーム購入時の諸費用には、様々な名目の費用があります。購入費用の見積書を見た際に、受け流してしまえばどれも必要な費用に見えるのですが、この中に通常ではかからない名目の費用が追加されていたり、本来必要とされている費用以上に料金が上乗せされて請求されている可能性があります。

<対処方法> あらかじめ、諸費用の名目と相場を知っておく

諸費用としては「不動産を取得するための費用」「住宅ローンのための費用」に大分できます。ここでは諸費用の名目について説明していきます。

また、各費用の相場については別記事で解説しています。あわせてご覧ください。
中古マンション購入時に必要な貯金はいくら?頭金、手付金、諸費用の違いと、内訳について

「不動産を取得するための費用」としては、仲介手数料、契約書の印紙代、登記費用、火災保険料、固定資産税清算金が挙げられます。
仲介手数料以外は全て必須の費用ではありますが、火災保険の内容が過剰なものになっていないか、登記をする司法書士に支払う報酬が高くないかなどについても、チェックするとよいでしょう。

「住宅ローンのための費用」としては、住宅ローン保証料、住宅ローンに関する契約書の印紙代、住宅ローン手数料、住宅ローン事務代行費用が挙げられます。
この中で注意すべきは、住宅ローン事務代行費用です。住宅ローンの手続きを不動産会社が行うために必要なサービス料となりますが、この料金は不動産会社の言い値です。過度な料金が請求されていないかどうか、確認しておきましょう。

ここに記載した以外の名目で費用が徴収されている場合には、その費用の内容について、不動産会社に確認しておくべきといえるでしょう。

契約前後のサービスが手抜きである

マイホームを購入した後の不具合については、売主の義務として修繕を行う必要があるため(瑕疵担保責任のこと。近年の法改正で契約不適合責任と名称が変更になった)、一部の不動産会社では独自の保証サービスを実施している場合がありますが、不動産仲介業者にはほとんど関係がありません。

契約後というよりは契約に至るまでのサービスが手抜きとなっている可能性があります。具体的には、売買契約が成立するまでのフォロー(現地の内見や価格交渉)や、売買契約時の事務手続き(住宅ローンのアドバイス、契約に関わる説明、住宅診断の説明)などが挙げられます。

<対処方法> 一般的に受けられるサービスの内容を知った上で、不動産会社の評判を調べておく

まずは、一般的に受けることができるサービスの内容についてあらかじめ知っておき、サービスが手抜きではないか、気付くことが肝心です。特に、契約に関わる重要事項説明などは、将来的に何かトラブルがあった際にあなたの身を守る武器となるものです。不明な点が無いようにしっかりとした説明を受け、疑問点は必ず質問しましょう。

しかし、契約が進んでから手抜きに気付いたところで、そこから全てを白紙に戻してやり直すには多大な労力がかかります。初めから手抜きをする業者を除外できるように、事前に不動産会社の評判を調べておくとよいでしょう。不動産会社の評判の調べ方については、後述します。

購入対象となる物件がほとんどない

仲介手数料を無料にするためには、以下のような一定の条件が必要です。

  • 売主がリノベーション業者や建売業者などであり、売主から手数料を必ず受け取ることができる場合
  • 売主が個人で、売主と買主を同じ不動産会社がマッチングできた場合
  • 対象物件が自社の物件である場合(不動産会社が売主の場合は仲介業務は発生しない)
  • 売主の代理として契約をする場合(不動産会社は売主と同等な立場となる)

これらのいずれかの条件を満たす必要があるため、全国にある全ての物件が仲介手数料無料の対象となるわけではありません。

<対処方法> 仲介手数料無料物件に強い不動産会社を中心に希望物件を探す

せっかく気に入った物件を見つけたのに、仲介手数料が無料とならなければその恩恵を受けることはできず、情報を検索するための無駄な労力や手間だけがかかります。効率的に物件を探すためには、条件を限定することです。

一般的な不動産会社では仲介手数料が無料である物件はごくわずかでしょう。つまり、仲介手数料が無料となる物件をメインで取り扱っている不動産会社に限定して、その不動産会社が取り扱っている物件の中から、希望条件に合う物件を探せば効率的です。

また、仲介手数料無料に強い不動産会社に、あらかじめ希望条件を伝えておき、良い物件が見つかった際に連絡をしてもらうという方法も効率的といえるでしょう。

売買代金に上乗せされている

自社が保有する物件であればもちろん価格調整が可能であるため、売買代金が割高となっている可能性もあります。

<対処方法> 周辺の近似条件である物件の相場を調べておく

希望物件と条件がなるべく近い物件が、いくらぐらいで売り出されているのか、その周辺の相場をインターネット上であらかじめ調べておけば、売買代金が妥当か不当かの判断材料にはなるでしょう。

もちろん、相場より高かったとしても、その理由がはっきりしていれば問題ありません。たとえば、設備のグレードが高い、図面では分かりずらい部分の周辺環境が良好、角地や南向きの好立地であるなど、様々な理由が考えられます。

仲介手数料無料で購入できる物件はお得でメリットも多い!

仲介手数料が無料であることのメリットを挙げていきます。割引される金額の重みはもちろんのこと、マイホーム購入には様々な諸費用がかかることを念頭におきましょう。

数十万円から百万円以上のお金が浮く

仲介手数料の上限額は「売買価格×3%+6万円+消費税」の速算式で計算できますが、3,000万円の物件であれば105.6万円、4,000万円の物件であれば138.6万円、5,000万円の物件であれば171.6万円もの費用が浮くことになります。

3,000万円のうちの100万円と考えると、それほど割引されていないと錯覚しますが、純粋に100万円の貯金をする(もしくは借金を返済する)と考えた際に、その労力は数年単位に及ぶと理解できるのではないでしょうか。それだけ大きな値引きです。

諸費用を住宅ローンに含むことができなくても問題はない

住宅ローンの借り入れ可能額については、購入物件の価格相当額であることが原則です。住宅ローンが超低金利といえる時代ですから、それを良いことに多めに借り入れをされ、ショッピングローンやキャッシングなどの返済に充てられては、金融機関としても困るわけです。

昨今ではマイホーム購入にかかる諸費用についても、住宅ローンに含めることができる金融機関も多くはなってきたものの、諸費用と認められる費用については金融機関によって厳格に決められています。また、住宅ローンに諸費用を含めることができず、別途「諸費用ローン」という名目のローンを、住宅ローンの金利より高利で準備されている場合もあります。

もし、諸費用が実費や高利となれば、マイホーム購入時に資金が不足したり、返済計画が崩れるという事態も考えられるのです。諸費用の大半を占める仲介手数料が無料であれば、このような事態になる可能性は低いでしょう。

諸費用って何?何にかかるお金なの?という方向けに、諸費用や手付金・頭金などについて、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

諸費用の大半を浮かせることで他の費用に充当できる

マイホーム購入時には引っ越し代金や家具の新調など、様々な出費がかさみがちです。頭金や諸費用を見積もって貯蓄してきたとすれば、浮いたお金で様々な出費にも柔軟に対応できる上、ある程度の余剰資金を手元に残しながら、ゆとりのある返済計画を立てることも可能です。

仲介手数料無料の不動産会社が増えてきて、どこを選べばいいのかわからないという悩みも

昨今では、仲介手数料無料の不動産会社が増えてきたといえますが、その中から優良な不動産会社を選ぶにはどうしたらよいのでしょうか。考えられる方法を説明します。

インターネット上に限らず周囲の方々の評判を調べる

インターネット上には様々な情報が寄せられているため、不動産会社の評判についても集めるのはさほど難しくありませんが、その内容は全てが正しいとして受け入れるのは危険です。良い情報よりも悪い情報のほうが拡散しやすいという特性もあり、悪い情報はどうしても過大に記載されがちです。

そのため、インターネット上の口コミを参考にする場合には、なるべく広い情報を集め、その情報の中から正しく取捨選択をするという心構えが必要不可欠です。

もし、インターネット上の情報では不安があるという方は、知人や友人などが利用したことのある不動産会社の評判を聞いてみるのもよいでしょう。

問い合わせた内容にしっかりと受け答えができる専門家がいる不動産会社を選ぼう

仲介手数料を無料にできる理由はもちろんのこと、物件に関する様々な質問に対して誠実に受け答えができる不動産会社は安心です。特に仲介不動産会社は契約に至るまでの「仲介」に関するサービスが重要ですから、はっきりとしない回答を繰り返すようでは、契約までの的確なフォローも期待できません。

そして、宅地建物取引士の有資格者や住宅ローンアドバイザーなど、多くの専門家を有していることも不動産会社選びには重要です。特に宅地建物取引士は合格率が10%前後と高難易度のれっきとした国家資格です。

おわりに:仲介手数料無料が怪しいわけではない

仲介手数料が無料である不動産会社が決して怪しいわけではなく、自社の利益を確保した上で、運営のコストカットを心掛けつつ、サービスの品質を落とさないという自助努力の賜物でもあり、むしろ消費者の立場に立つことができる不動産会社であるといえます。

残念なことに、仲介手数料を無料とする不動産会社の中には、一部の悪質な不動産会社も混ざっていることは確かです。あらかじめ被りうるデメリットを把握しておけば、それらのデメリットに対して事前に対策を講じることも十分に可能なのです。

今や新常識となりつつある仲介手数料無料の恩恵を正しく活用し、資金に余裕をもったマイホーム探しをしてみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/

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