とある広い土地が区分けされ、似たような造りの新築一戸建てが何棟か売り出されているような新築分譲建売住宅のチラシや広告の中に、「仲介手数料が無料!」と謳われているのを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産会社の立場を示す取引態様に着目し、新築一戸建てがなぜ仲介手数料無料にできるのか、そして、同じ物件であっても不動産会社によって仲介手数料が違う理由について、ご説明していきます。

新築一戸建ては仲介手数料を無料にできるのはなぜ?

仲介手数料が無料となる(無料にできる)のは、「買主から報酬を受け取らなくても、売主から報酬を受け取れる」場合です。この条件を踏まえると、不動産会社の立場(取引態様)と売主の種類によって、仲介手数料が無料となる理由を、以下の4つに分けることができます。

  1. 不動産会社の取引態様が「仲介」で、売主が個人の場合
    ※ただし、売主と買主の間に立つ仲介不動産会社が1社のみであること
  2. 不動産会社の取引態様が「仲介」で、売主が不動産会社の場合
  3. 不動産会社の取引態様が「売主」の場合
  4. 不動産会社の取引態様が「代理」の場合

不動産の知識が豊富な方以外は、複雑でなかなか理解が難しいと思いますので上記の4つの違いは覚えなくても大丈夫です!
かわりに、「売主から手数料がもらえる物件どうか≒仲介手数料が無料にできる物件か」はこちらを見て判断してみてください。


※取引態様の表示例(赤枠の中に「売主」「仲介」などと記載があります)
参考元:【SUUMO】オープンライブス谷中アクセス - コンセプト | 新築一戸建て・新築分譲住宅物件情報

「仲介」となっている場合でも、「売主」は不動産会社で「売主」から仲介手数料がもらえる物件も存在します。
ポータルサイトなどの記載だけでは、わからない場合がありますので
ご自身で判断できない場合は、無料診断しますのでこちらからお問い合せください。

また、売主が不動産会社・建設会社の物件は、下記の2パターンです。
こちらも仲介手数料が無料にできるか判断する材料になりますので、ご参照下さい。

1.新築一戸建ての場合

新築一戸建ては、建設会社や不動産会社が土地を仕入れて、建物を建てて売るケースが9割以上です。
例のように「仲介」と表示されていても、売主の不動産会社や建設会社が別で存在していて、不動産仲介会社は売主から手数料がもらえる物件であることがほとんどですので仲介手数料を無料にできるケースが多いです。

2.大掛かりなリフォーム・リノベーション済の中古マンション・中古一戸建て

また、大掛かりなリフォーム・リノベーションを実施済の物件も不動産会社・建設会社が物件を買い取った後に、リフォーム・リノベーションして販売していることが多いので、不動産会社・建設会社が売主で、仲介手数料無料にできるケースが多いです。

購入希望の物件が、上記で紹介した
ポータルサイトの記載や物件の内容を見ても、仲介手数料無料になりそうかわからない場合や
もっと詳しく知りたい場合は、こちらから無料で診断できます。

仲介手数料を無料できる条件とは?

不動産売買における仲介手数料とは、売主と買主の間に入って仲介業務を行った上で、その契約が成立した場合に受け取ることができる成功報酬です。仲介をした売主からも買主からも法律で決められた上限額(物件価格の3%+6万円)まで仲介手数料を受け取ることができますが、売主と買主の両者から仲介手数料を受け取るためには、両者の仲介業務を1社の不動産会社が行う必要があります。

つまり、売主の仲介業務を行う不動産会社と、買主の仲介業務を行う不動産会社が異なる場合には、いずれか一方からしか、仲介介手数料を受け取ることはできません。そして、買主の仲介手数料を無料にできるのは、買主と売主の間で仲介業務を行う不動産会社が1社であり、売主からの仲介手数料についても利益として確保できる場合のみです。

例えば、個人の方がマイホームの売却を検討していたとします。買主を見つけてもらうために、不動産会社に仲介業務を依頼するのが一般的でしょう。この不動産会社をA不動産会社とします。A不動産会社は自ら買主を探しますが、売主と結ぶ仲介をするための契約(媒介契約)の種類によっては、買主を広く募集するために不動産会社専用のデータベースに物件を掲載する義務が発生します。

もし、このデータベースを見たT不動産会社が買主を見つけ、A不動産会社に連絡をして契約に至った場合、仲介手数料の取り分はどのようになるのでしょうか?売主の仲介業務を行ったA不動産会社は売主から、買主の仲介業務を行ったT不動産会社は買主からそれぞれ仲介手数料を受け取ることになります。つまりA不動産会社もT不動産会社も、仲介手数料を無料とするわけにはいかないのです。

売主が建売業者やハウスメーカーなどの不動産会社の場合

売主が個人ではなく、分譲住宅を売る建売業者などの不動産会社の場合には、広く買主を見つけるという意味で特定の不動産会社を窓口とするような媒介契約を結ばず、買主を見つけてきた不動産会社に、その報酬の意味合いで仲介手数料を支払うことが多いといえます。

つまり、不動産会社の場合には売主が個人の場合と異なり、ほとんどの場合で売主と買主の両者から仲介手数料を受け取ることができる状態になるため、買主側の仲介手数料を無料にできるのです。

新築戸建は仲介手数料を無料にしやすい種類の物件

さて、仲介手数料を無料にできる条件を踏まえ、新築戸建について考えてみましょう。そもそも、個人が売主となるのは中古戸建が一般的であり、市場に流通するような新築戸建を売り出すことはありません。つまり、新築戸建は売主のほとんどが不動産会社であるため、買主側の仲介手数料を無料にしやすいのです。

ただし、建売業者によっては、関連する不動産会社を窓口とするために、結びつきが強い種類の媒介契約を結ぶことがあります(専任媒介契約や専属専任媒介契約)。この場合、売主と取引をする際には必ずこの不動産会社を通さなければならないルールとなるため、他の不動産会社が買主を見つけてきたとしても、仲介手数料を無料とすることはできません。

新築戸建の物件を選ぶときは取引の種類もあわせてチェック

取引をする相手の不動産会社がどのような立場であるかを知ることは重要です。広告を載せているのが売主なのか、仲介業務を行っている不動産会社なのかによって、仲介手数料の有無が異なるのです。不動産会社の立場を示す取引態様と、物件の種類との関係性について、ご説明していきます。

取引態様が「売主」か「代理」か「仲介(媒介)」か

インターネット上の物件検索サイトであっても、新聞の折り込みチラシであっても、広告には必ず不動産会社の立場を示す取引態様を掲載しなければなりません。取引態様には「売主」「代理」「仲介(媒介)」の3種類ありますが、それぞれの役割と注意点を確認していきましょう。

売主

不動産会社が自ら所有する物件を売ることであり、仲介業務は発生しないため、仲介手数料はそもそもかかりません。しかし、仲介業務として不動産会社が行う手続きやサービスの一部を受けることができない他、仲介業務をする不動産会社の役割でもある中立な立場が失われる可能性があります。

代理

不動産会社が売主と同等の権限を持ち、契約にあたることができます。ほぼ売主と同等であるのだから、仲介手数料はかからないと思われがちですが、法律上では仲介手数料を買主から受け取ることを認めています。それは、代理といえども仲介業務のほとんどを担うためです。

その上、売主の代わりに契約するという重責があることから、売主に対して買主分の仲介手数料を上乗せて請求することも可能となっています(仲介手数料の2倍まで請求可能)。実は、この理由で、一般的には買主に対して仲介手数料が請求されることはありません。

仲介(媒介)

不動産売買を仲立ちする役割です。売買の相談や物件探しだけではなく、現地案内や契約手続き、引き渡しまで、不動産売買に関わる一連の業務をサポートする役割があります。そもそも、不動産取引士という国家資格が存在するのは、不動産取引の専門性の高さによるものですが、そのような取引を中立・公正な立場で、サポートするという意味合いもあるのです。仲介手数料はそれらの専門的な業務の対価といえるでしょう。

物件の種類と仲介手数料無料の関係

先ほど記載したとおり、中古戸建は個人が売主であることが多いため、仲介手数料を無料にできる可能性が低いのですが、リノベーション物件などはリノベーション会社が個人から不動産を買い取った上で販売していることもあるため、その場合には売主が不動産会社となり、仲介手数料を無料にできる可能性が高くなります。

これは中古マンションにも同じことがいえますが、耐用年数が一般的な木造戸建よりも長いマンションは、一般戸建のように建て壊して新築物件を立てて売り出さず、リノベーションをして販売することが多いといえます。そのため、リノベーションをした中古マンションについては、仲介手数料を無料にできる可能性が高いといえるでしょう。

また、新築戸建は売主のほとんどが不動産会社であるため、仲介手数料を無料にできる可能性が高いといえますし、新築マンションについては、不動産会社が仲介(媒介)ではなく代理の立場で販売することが良くありますが、いずれにせよ、買主側の手数料は無料とされるケースが多いでしょう。

どこの不動産会社でも仲介手数料が無料になるの?

買主側の仲介手数料を無料としても、不動産会社利益が確保できる条件が分かったところで、全ての不動産会社で仲介手数料が無料となるのでしょうか?また、利益が確保できるとはいえ、仲介手数料を無料とすることで発生するデメリットは無いのでしょうか?

仲介手数料の上限額を報酬としている不動産会社は未だに多い

最近になり、ようやく仲介手数料を無料や割引とする不動産会社が増えてきたものの、未だに仲介手数料を法律で決められた上限額まで受け取っている不動産会社は多いといえるでしょう。もちろん、不動産取引の専門性を考慮すれば、仲介手数料が高額であっても妥当とも考えられます。

一方で、そこに競争が生まれなかったという事実もあります。過度な値引き合戦でサービスの質を落とす結果となれば問題ですが、消費者へ還元するために、各不動産会社が経費を削減して経営コストを見直すなど、自助努力が疎かになっていた原因ともいえるのです。

仲介手数料を無料にするためにはノウハウと自助努力が必要不可欠

残念ながら、仲介手数料を無料と謳っている不動産会社の中には、仲介手数料以外の名目で料金を上乗せしたり、サービスがおざなりだったりと、悪質な不動産会社が存在することも確かです。しかし、それ以外の不動産会社は、過度な広告費を削減し、効率的な営業で人件費を見直すなどの企業の自助努力によって経営を成り立たせています。

しかし、本来は100万円前後の金額を受け取ることができるはずの仲介手数料を割引したり、全額を無料として経営を成り立たせるのは容易なことではありません。そこには自助努力だけではなく、不動産会社のノウハウが詰め込まれているといえるのです。つまり、全ての不動産会社が仲介手数料を無料や割引できるわけではありません。仲介手数料が無料であることに特化した不動産会社などであれば、その経験も長く、安心といえるのではないでしょうか。

気になる新築戸建を見つけたらまずは不動産会社に問い合わせを!

仲介手数料を無料としている不動産会社とそうでない不動産会社があれば、仲介手数料を無料としている不動産会社に仲介業務を依頼したいと思うのは当然ですが、同じ物件であっても仲介手数料に差が出ることはあるのでしょうか。

同じ物件でも手数料に差が出る場合もある

仲介手数料を無料や半額としている不動産会社は、本来は受け取っても良い報酬をカットし、まさに身を切る経営で実現しているわけですから、どのような物件であっても同じ対応が可能です。つまり、仲介手数料については、仲介業務を依頼する不動産会社によって大きく異なるということです。

もし、気に入った物件がある場合には、仲介手数料無料に特化した不動産会社に仲介を依頼してみるのも1つの方法です。仲介手数料を売主からも買主からも受け取ることができる物件であった場合には、仲介手数料を無料としてくれるでしょう。

仲介手数料を無料とできない専任媒介契約と専属専任媒介契約とは

物件の種類に関わらず、どうしても仲介手数料を無料とできない、つまりは仲介手数料を売主からも買主からも受け取ることができない場合は、売主と仲介業務を行う不動産会社との間で交わされる媒介契約の種類によって異なるといえます。

媒介契約には、「一般媒介、専任媒介、専属専任媒介」の3つがありますが、先ほど記載したとおり、一般媒介以外は売主と不動産会社とのつながりが強く、必ず媒介契約を結んだ不動産会社を通さなければならないという決まりがあります。そのため、仲介手数料に特化した不動産会社であっても、仲介手数料を無料とすることは不可能といえます。

もし、「仲介 専任」と書いてあれば、それは売主と直接媒介契約を結んでいる不動産会社です。つまり、その不動産会社に問い合わせて契約が成立すれば、仲介手数料を無料にできる条件が揃います。もっとも、不動産会社によっては、仲介手数料の無料はもちろん、減額についても一切してくれない場合があることについても、頭に入れておきましょう。

おわりに:取引態様は必ずチェックして不動産会社の立場を見極めよう!

不動産会社の立場を示す取引態様は、新築一戸建てを仲介手数料無料となる(無料にできる)どうかの判断材料になります。広告やチラシを見かけた場合には、一度チェックしてみましょう。

また、購入したい物件が見つかった際には、そのまま問い合わせをするのではなく、仲介手数料無料に特化した不動産会社に依頼をし、その物件も同じように仲介手数料無料とできるか、もいくは割引できるかについて、確認するのも良い方法です。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/