はじめての不動産売却をする人向けの売却基礎知識

不動産売却では、普段では馴染みの無い手続きや専門用語などが様々登場します。
「トラブル無く売れるだろうか」「騙されたりしないだろうか」「そもそも本当に今売るべきなのだろうか」など、はじめて売却を経験される方は、この様な不安を感じられる方がほとんどです。

しかし、不動産の売却理由は人それぞれでも、実は売却方法はあまり変わりません。
大切な不動産だからこそ不安に感じるのは当然のこととして、不安を少しでも解消するためにも、不動産取引の仕組みを事前に把握しておくことが重要です。

本記事の主な内容は下記のとおりです。

  • 不動産の売却理由は人それぞれでも、実は売却方法はあまり変わらない
  • 売却理由は「住み替えのため」「資産整理のため」「ローン返済が困難になったため」の3つ
  • 不動産売却を検討には、まずはどの程度の価格で売れるかを調べよう
  • 売却を始めるには「身分証」「権利証」「印鑑証明書」の3つが必須

今回は、はじめて不動産売却をする方に向けて、必要な準備や期間など、売却開始する前に知っておきたい基礎知識について解説していきます。

不動産売却とは

不動産売却とは「不動産の所有権等を買主に移転すること」を指します。
原則的に、不動産は法務局で保管されている「登記簿謄本」というデータ帳に「どこに住む・誰が所有しているのか」が記録されています。

不動産を売却することは、この登記簿謄本に記載されたご自身の所有者名義を買主の名義に移転し、その対価として売買契約書に定められた代金を授受するという一連の手続きを指しています。

これらの手続きは専門家に依頼することなく、法律上は全て個人で行うことができます。
しかし、実際の取引では当事者間の交渉や契約内容の調整、行政への申請手続きなど、専門的な知識や経験無しでは到底手続きを完結することができないため、専門家である「不動産仲介会社」に売却依頼することが通常です。

不動産仲介会社は略して「仲介会社」とも呼ばれます。仲介会社は物件の想定売却価格(査定価格)の提案や物件調査、販売活動、売買契約手続きなど、売却相談から物件の引渡しまで、全ての業務を担います。
そのため、売主にとって納得のいく売却ができるかどうかは、この仲介会社の質が非常に大きく影響するのです。

不動産売却でよくある理由

不動産売却の理由を大きくまとめると以下3つに集約されます。

  • 住み替えのため
  • 資産整理のため
  • ローン返済が困難になったため

住み替えのため

住宅売却の理由として最も多いのが「住み替え」による売却です。
住み替えをすることの理由としては、家族数の変化や転居を伴う異動や転職によるものなど様々あり、何らかのライフステージの変化によって売却を検討されています。

住み替えの中でも注意すべきなのが「買い替え」のケースです。買い替えを行う場合は、買い替え先の購入を先行するのか、売却を先行するのかによって売買契約や決済を行うタイミングが異なります。

特に、住宅ローンが残っている場合は残債をどの様な方法で完済するかなど、一般的な購入よりも課題が増えるため注意が必要です。

資産整理のため

資産整理を理由として、売却により不動産を現金化する方もいます。
住宅購入以外にも不動産を取得する理由は様々で、相続により取得した方や、税金対策のためにマンションを購入する方もいます。

その様な方々は、相続税の納税資金を確保するために不動産を現金化する、あるいは資産組み替えを目的に不動産を現金化した後、株式や債権に変えるなど、ライフステージとは関係なく税制面や金銭的理由を背景に売却を検討される方もいるのです。

ローン返済が難しくなったため

ローンの支払いが難しくなったことを理由に売却される方もいます。
ローンの支払いが滞った場合、通常は3ヶ月程度で金融機関から督促状や催告書が送付されます。そしてその後も滞納が継続した場合は、支払いが滞ってから6ヶ月前後で保証会社から金融機関へ代わりに返済され、同時に保証会社は裁判所に対し「競売」の申し立てを行うことが通常です。

自宅が競売にかけられた場合、債務者は社会的信用も失われる上、遅延損害金などさらなる支払い費用が発生してしまいます。そのため、支払い不能に陥る前に売却する、あるいは支払い不能に陥った場合は「任意売却制度」によって売却し、残債は売却後に少しずつ支払うという方法をとる方もいます。

不動産売却の検討の仕方

不動産売却を検討する際、まずはどの程度の価格で売れるかを調べることから始めましょう。
現時点の価格を知ることは「今売るべきなのか、あるいはもう少し待つべきなのか」「そもそも売却しても残債を返すことは可能なのか」など売却による有益性や実現性を把握し、ご自身や家族のライフステージも含めて、現在が売却すべきタイミングなのかを適切に判断するための材料となります。

不動産価格を調べるためには、仲介会社に直接査定依頼するほかに「一括査定サイト」の利用もおすすめです。一括査定サイトでは、不動産の基本情報を入力するだけで、複数社による想定価格を早ければ数時間で教えてもらうことが可能です。

また、もう少し具体的な価格が知りたい場合は「訪問査定」を仲介会社に依頼しましょう。訪問査定は実際に仲介会社の担当者が物件を目視し、建物の状態や周辺環境を含めてより本格的な調査をした上で想定価格を算出します。

この訪問査定では、価格の他にも具体的な売却方法や法令制限などの専門的な内容についても相談できるため、より具体的な検討材料を収集することにも有益と言えます。

不動産売却査定の基礎知識はこちらの記事で解説しています。

不動産売却に必要な期間と準備

不動産の売却には3~6ヶ月程度の期間がかかると言われています。ただし、売却にかかる時間は物件の所在や建物の状態などが影響するため状況によって様々であり、場合によっては数年間売れないケースも存在します。

そのため、住み替えや支払い不能など、売却にかけられる時間が限られている場合は、不動産会社による買取を選択される方もいます。
買取であれば、販売活動を極力短くできる上、買主が不動産会社であるため手続きも円滑に進めることが可能です。

また、不動産売却の際には仲介会社から様々な書類を求められます。ただし、ほとんどは仲介会社自身でも取得することができ、あるいは所有者が紛失しても売却手続き上は問題ありませんが、下記3つの書類は必ず準備しなければ売却が成立しないため注意が必要です。

  • 身分証明書
  • 登記済権利証または登記識別情報通知
  • 印鑑証明書

身分証明書

身分証明書は、所有者本人の運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど、本人が確認できる公的書類です。また、親子や兄弟など、物件が共有名義となっている場合は、共有者全員のものが必要となります。

身分証明書は、不動産売却を開始する際に仲介会社が所有者本人であるかチェックするために用いるほか、契約締結や物件引き渡しの際にも提示が必要となります。

登記済権利証または登記識別情報通知

登記済権利証または登記識別情報通知は呼び方が異なりますが、いわゆる「権利証」のことを指します。以前は「登記済権利証」という名称で書面上に情報が記載されたものが発行されていましたが、現在は情報保護の観点から、登記時に必要なパスワードが記載された書面(登記識別情報通知)が用いられています。

なお、権利証は紛失すると再発行することができません。万が一紛失してしまった場合は、司法書士や法務局を通じて権利証の代わりになる手続きが必要となるため、売却前には必ず所在を確認しておきましょう。

印鑑証明書

印鑑証明書は「売買契約」および物件を引き渡す際に行う「所有権移転登記」に必要です。所有権移転登記は、通常、司法書士を委託して行います。司法書士は売買契約書に押印された印鑑の印影と、印鑑証明書の印影を照合し、本人確認と併せて売買契約が正式なものと判断した上で、その職権により登記申請手続きを行います。

印鑑登録をされてない方は、売却開始後に想定よりも買主が早く見つかる可能性もあるため、なるべく早く登録を済ませておくことをおすすめします。

おわりに:不安解消のためにも、事前に基礎知識を備えておこう

不動産売却の理由を大きくまとめると「住み替えのため」「資産整理のため」「ローン返済が困難になったため」の3つに集約されます。
この様に売却理由は様々でも、実は売却方法はあまり変わりません。そのため、売却に不安を感じている方は、事前に不動産売却の基礎知識を知っておくことが不安解消に効果的です。

不動産売却を検討する際は、まずは一括査定などを利用し、どの程度の価格で売れるかを調べることからはじめましょう。
売却想定価格を知ることで、ご自身や家族のライフステージも含めて売却すべきタイミングなのかを判断することが重要です。また、訪問査定を依頼し、仲介会社からより具体的なアドバイスをもらうこともおすすめです。

この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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