中古物件は値下げできる?値下げ交渉のタイミングや価格変動について解説

不動産売買において値下げ交渉をすることはもちろん可能ですが、ポイントを抑えて交渉することが大切です。値下げ交渉がしやすい物件やタイミング、値下げ額については、以下のようなことがいえるでしょう。

  • 物件検索サイトに掲載されてから数ヶ月間反応が無い物件
  • まだ一度も値下げされていない物件
  • 時期は閑散期に入る前の新年度近辺
  • タイミングは物件の購入申し込み時がベター
  • 値下げ額は端数切りを基本として、最大でも10%程度

この記事では、中古物件を購入する際の値下げ交渉に関して、その最適なタイミングや考え方、値下げの相場や中古物件市場の動向についても、ご説明していきます。

中古物件の価格は値下げできる?

マイホーム探しをしていたあなたは、郊外の新築物件だけではなく、通勤や通学の利便性が高い都心部にある中古物件にいても探すようになっていました。

「この中古物件、ずっと広告を出してるよね。売れない理由があるのかな?」
「どうだろうね。別にスケジュールは気にしてないってことじゃない?」
「もう少し値段が下がれば、マイホームの候補なんだけど、値下げ交渉ってできるのかな?」

中古物件を購入する際に値下げ交渉を行うことは可能ですが、一般的には仲介を依頼する不動産会社が業務の一環として行ってくれるものです。中古物件の場合は、売主が個人でも業者でも、それなりの事情があることを知りながら、値下げ交渉を行いましょう。

売主が個人の場合、それなりの計画がある

もし、あなたがマイホームをすでに所有していたとして、マイホームを売却しようと考えるのはどんなシチュエーションでしょうか?住み慣れた生活拠点がそこにあるにも関わらず、マイホーム自体を売却しなければならない状況に至った理由は、進学や転職、介護や終活など、ライフイベントにより多岐にわたりますが、高く売れたら住み替えようという気ままな理由であることはほとんどなく、新年度を見越してなど、一定のスケジュールを計画している可能性が高いといえます。

では万が一、買主が見つからなかったり、売買契約が円滑に進まなかった場合には、どのような状況になるでしょうか?マイホームの買い替えであれば、ローンを二重に組んで返済を続けるか、比較的高利な住み替えローンで債務を一本化しなければなりません。ひとまずは賃貸物件に住み、マイホームが売れてから改めて新居を探すという選択肢もありますが、生活環境を度々変えることになるため非効率です。

このような無駄な返済や非効率な住み替えを防ぐため、マイホームをできるだけ円滑に売却しようと居住中であっても内覧させることがあるわけですから、もちろん、一定の値下げ交渉には応じしてくれると考えてよいでしょう。

ただし、売却金額をローンの残債に充てることがほとんどでしょうから、過度な値下げをすれば債務だけ手元に残るという可能性もあります。マイホームを売ろうとしている方の中には、住宅ローンの返済が滞っており、債務を整理して家計を見直したいという方もいらっしゃいます。売却の金額が今後の家計のやり繰りに直結するわけですから、いくらスケジュールが切羽詰まっていたとしても、過度な値下げに応じるわけにはいかないのです。

売主が業者の場合、売れ残りは避けたい

リノベーション物件など、業者が物件を買い取った後に販売している中古物件は、売主よりもスケジュールがひっ迫しているわけではありませんが、空き家として長い間放置することも、管理面の費用や稼働を考慮すれば、決して望ましいことではありません。そして、一定の期間が経って売れ残りの状態になれば、広告なども一巡しているわけですから、そこから新しい買主を掘り起こすのは難しく、結果的に値下げをアピールするぐらいしか手段がなくなります。

もちろん、リノベーションなどを行っている場合にはその費用も上乗せしなければなりませんので、売れ残りの状態は避けるべく、一定の値下げ交渉には応じてくれるといえるでしょう。

中古物件の値下げ交渉のベストなタイミング

中古物件には売主によって様々な事情があることが分かったところで、値下げ交渉をするのに良いタイミングはあるのでしょうか。売主が誰であれ「売れ残りは避けたい」というのがポイントです。

3ヶ月~半年程度、放置されているような物件

先ほど記載したとおり、売れ残りを避けたいのはどんな売主にも共通しています。つまり、広告掲載が続いている物件は交渉がしやすいといえるでしょう。また、一般的な広告費用は、仲介業務を行う不動産会社の自己負担であることもポイントです。そのため、「おススメ物件」のように目立つ広告を掲載している場合には本気度が高く、値下げ交渉にも積極的といえます。なお、費用が高い特別な広告は、売主の要望で行われる場合もありますが(この場合の広告費は売主の自己負担)、いずれにせよ売却の意志が強いと判断できます。

また、売主と仲介業務を行う不動産会社の関係もポイントです。一般的には物件の売却を不動産会社に依頼する場合、媒介(ばいかい。仲介と同じ意味)契約を結ぶことになります。この媒介契約の種類にもよりますが、有効期間が3ヶ月以内と決められているのです。つまり、不動産会社の営業活動が良くないと思えば、売主は別の不動産会社に乗り換えることも可能です。

不動産会社としては、自社を通して売買契約を成立させた上で仲介手数料を受け取らなければ収益が出せませんし、3カ月間売れ残っていれば不動産会社を乗り換えられてしまう可能性もあるのです。もし、不動産会社を乗り換えられてしまえば、それまでに負担した広告費用がそのまま赤字になるため、できる限り媒介契約の期間内に売りたいという事情があります。

ただし、広告の掲載日が媒介契約の日と同じであるとは限りませんので、広告の掲載か3ヶ月目という判断ではなく、一定の期間(少なくとも2ヶ月以上)、広告が掲載され続けているような物件については売主からのプレッシャーもあり、値下げ交渉しやすいと考えればよいでしょう。

取引が活発になる1月~3月の終盤に「購入意欲」を示す

不動産取引が活発になるのは、売買も賃貸問わず、新年度が始まる前の1月~3月です。この期間は、多くの購入希望者から問い合わせがありますので物件を売るチャンスでもありますが、この時期を逃すと閑散期に入るため、購入希望者の中から購入意欲が高い方を見極めなければなりません。もちろん、値下げ交渉は不動産会社が行うものですが、購入機会を逃すと閑散期に入ってしまうということは売主にも訴えかけているはずですから、年度末に近づくにつれて、交渉に応じやすくなるといえるでしょう。

また、閑散期以外も値下げ交渉はしやすいといえますが、閑散期を逃した売れ残り物件である可能性があることには注意が必要です。

いくらくらいまでなら交渉していいの?

値下げ交渉はいくらくらいまでが許容されるものなのでしょうか?過度な交渉の結果、本当に欲しい物件だったとしても決裂する場合もあるますので、値下げを切り出すタイミングについても注意が必要です。

基本的には相場が基準で価格の10%以内、端数切りは応じやすい

不動産には適正価格があります。それらの価格は不動産評価額や、周辺の類似物件の過去の取引事例など、様々なデータにより客観的に導き出されるものです。明らかに相場よりも高く値付けされている場合には、それらのデータを元に値下げをすることは可能でしょう。また、リノベーションされているために適正価格が分からない場合などは、物件価格の5~10%程度の値下げが妥当と考えればよいでしょう。

もし、相場が適正であれば、過度な値下げ交渉は逆効果です。値下げ額は端数切り程度と考えましょう。仮に3,250万円の物件の場合、50万円の値下げであれば売主も応じやすいでしょう。

値下げ交渉は申し込み時に行うのがベター

値下げ交渉を切り出すタイミングは、購入の申し込みをするタイミングで行いましょう。申し込み前であれば購入意欲が分からず、実際に売主との値下げ交渉を行う不動産会社も交渉しづらいと言えます。また、契約直前に値下げを切り出し、申し込みの取り下げを駆け引きとして利用するのもマナー違反です。

申し込みをする際に値下げ交渉を依頼すれば、一定の購入意欲を示すこともできますし、値下げ希望額が高めだったとしても、そこから互いに折衝しながら最終的に合意することは可能ですし、値下げに一切対応してくれない場合などには、申し込みの取り下げも柔軟といえます。

ただし、物件探しは価格や値下げの額で決まるものではありません。様々な希望条件や自身の予算などから物件探しを行った結果、ようやく見つけた物件であるにも関わらず、過度な価格交渉によって売主から契約を拒否される可能性もあります。

初めから値下げを期待して物件探しをするのではなく、予算なども具体的に伝えた上で「値下げをしてもらったら予算内で購入できるので、ぜひお願いしたい」という強い意志を示しつつ、マナーと誠意をもって行うようにしましょう。

こちらの記事では、有利に交渉が運ぶ5つの条件・シチュエーションを解説しています。あわせてご覧ください。

知っておきたい中古物件の価格変動について

値下げ交渉について理解が深まったところで、市場に流通する中古物件の価格変動はどのようになっているのでしょうか?物件の種類だけではなく、地域や立地によっても大きく異なりますが、不動産流通市場全体の相場感については理解しておくとよいでしょう。

中古物件自体の流通は、世界の中でも低水準

令和2年5月に公表された国土交通省のレポートによると、住宅の流通のうち、中古物件のシェアは14.5%程度であり、欧米諸国に比べると20%程度と極めて低水準です。この理由の1つに「中古物件に対する不安が大きい」というものがあります。

これまで、新築物件であれば、購入後に建物に生じた不具合についての責任は売主が負い、責任を問うことができる期間が長かった(10年間)といえますが、中古物件は不具合を訴えることができる期間が短く(契約から3ヶ月以内などで、売主保護の意味合いもある)、何か問題があった際には自分自身で修繕しなければならないという不安が強かったため、購入を敬遠されていたといえます。

そのような状況を配慮した上で、欧米諸国に習い義務化されたのが、不動産会社が行うホームインスペクションの説明やあっせんです。ホームインスペクションとは住宅の性能を検査する住宅診断です。第3者期間によって、物件に構造上の問題が無いかについて確認ができるため、費用は若干かかるものの安心して入居が可能となるのです。

また、瑕疵が見つかった場合に修繕を行うことができる瑕疵保険への加入については、ホームインスペクションが前提となっており、入居前の検査と、入居後の修繕について制度を整えることで、中古物件の流通を促している状況といえるでしょう。

耐用年数から生み出された誤解

不動産に関わる様々な取引を行うためには、不動産の価値を評価しなければなりませんが、評価の際に利用される法定耐用年数に誤解があるという問題も、中古物件の流通を阻害する原因の1つです。

耐用年数は、減価償却や住宅ローン融資などで利用される法定の「建物を使用できる期間」ですが、木造住宅の場合、その年数が22年とされているため、22年後には利用できなくなると誤解されているのです。「資産の価値が0円とみなして計算しますよ」という便宜上に数値化された耐用年数より、実際に利用できる年数ははるかに長く、耐用年数を過ぎたらリフォームや建て替えをしなければいけないわけでもありません。

昨今では住宅そのものの質が上がっていることも起因していますが、長く利用できる品質をもった住宅に対しては税制面で優遇するなど、政府は中古物件の流通を強くバックアップしているといえます。

おわりに:値下げ交渉ありきではなく、具体的な予算と共に購入意欲を示すこと

不動産売買は中古物件とはいえども高額な取引です。値下げ交渉をしたくなる気持ちも分かりますが、値下げありきで物件探しをするのではなく、家族全員の希望条件や収入から導き出させる予算を元に探すべきです。

物件を売り出している方が個人であれば、その事情にも十分留意しつつ、物件探しを行った結果として「どうしても譲ってほしいが予算が足りない」などの事情を伝えながら、相手に迷惑が掛からない程度に、マナーをもって行うべきといえるでしょう。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/

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