【FPが解説】派遣・契約社員など非正規雇用でも住宅ローンは組める?審査項目もチェック!

住宅購入には必須とも言える「住宅ローン」。現在、「超低金利政策」の影響で、住宅ローン金利は非常に低い水準で推移しています。

利用者にとっては、借りる金額が同じでもローン金利が低くなれば、月々の返済額は抑えられます。また、金融機関側も、なるべく貸し出しを増やすために、融資条件を緩和する動きがあり、以前よりも住宅ローンを組みやすくなったと言われています。

ここで気になるのは、派遣社員・契約社員などのいわゆる「非正規雇用」の方々です。住宅ローンが組みやすくなったとは言え、「安定していない非正規雇用では難しいのでは?」と思われる方が少なくありません。

本記事の主な内容は以下のとおりです。

  • 非正規雇用でも住宅ローンの利用は可能
  • 正規か否かよりも「返済能力」が優先される
  • 住宅ローンの審査項目は主に5つ
  • 金融機関によって重視する項目は異なる
  • 公的なカラーが強い「フラット35」がおすすめ

総務省統計局の「労働力調査」によると、就業者6,662万人のうち非正規雇用者は2,058万人(※)と言われており、働く方の3割以上を非正規雇用者が占める計算です。
世間では、「正社員でないと住宅ローンが利用できない」と考えられがちです。しかし、実際には、融資要件をしっかりクリアすることができれば、非正規雇用の方でも住宅ローンの利用は十分可能です。

今回は、非正規雇用の方の住宅ローンについて、審査項目やおすすめの住宅ローン商品などを解説していきます。

(※)参考:労働力調査(詳細集計)2021年(令和3年)4~6月期平均

派遣社員・契約社員でも住宅ローンは組める

結論から言うと、非正規雇用の方でも住宅ローンの利用は可能です。
住宅ローンを組むためには融資審査に通過する必要があります。ただ、この融資審査で最も重視されるのは、雇用形態が「正規か非正規か」ではありません。当然ですが、「返済能力があるか否か」が最も重要なポイントなのです。

確かに、非正規雇用は、正規雇用に比べて「雇用が継続されるか」という点では劣ると言えるでしょう。しかし、非正規雇用でも、これまでの経歴や現在の収入状況によっては、返済能力が十分あると認められる方もいます。逆に、正規雇用でも、勤続年数が短すぎる、勤務する会社に不安があるなどといった理由で融資審査を通過できない、という可能性もあるのです。

したがって、非正規雇用だからといって住宅購入を諦める必要はありません。キャリアや年収など、ご自身が社会的信用をどの程度有しており、それによってどの程度の借入が可能かを客観的に評価することが重要です。

また、住宅ローンを組む前に確認しておきたい「年収と返済可能額の目安」についてはこちらの記事で解説しています。

非正規雇用の住宅ローンの審査項目

住宅ローンの融資審査では主に5つの項目が注目されます。

  • 年齢や健康状態
  • 収入状況
  • 借入状況
  • 職種や勤続年数
  • 担保価値

年齢や健康状態

住宅ローンの借入期間は、民間金融機関で最長35年のものが一般的です。それに対し、現在の定年退職の年齢は60歳・65歳のところが多く、仮に最長の35年で借り入れて、勤続中に完済するためには、遅くとも30歳には住宅ローンを組む必要があります。

実際には、繰り上げ返済や退職金を充当するなどして、定年時に完済する方が多いようですが、金融機関としては、年齢が低い方が貸し倒れのリスクが低いと判断します。

また、民間金融機関を利用する場合、「団体信用保険(団信)」への加入が原則です。団体信用保険とは、住宅ローンの債務者が返済期間中に死亡または高度障害状態になった際、住宅ローンの残高分の保険金が金融機関に支払われ、住宅ローンが完済されるという仕組みの保険です。

団信に加入するためには、健康状態が問われます。住宅ローン申し込みの際に健康状態を申告する必要があり、団信に加入できるかの審査が行われます。加入できなかった場合は、融資承認が得られない可能性があるのです。

収入状況

収入状況は、主に借入可能額を判断する際に注目されます。
金融機関は、借入可能額を算出する際、「返済負担率」という指標を用います。返済負担率とは「額面年収(※給与から控除を差し引く前の金額のこと)に占める年間返済額の割合」です。住宅ローン申し込みの際、年間返済額が基準となる返済負担率を超えた場合、融資金額が減額されたり、融資が非承認となったりする場合があります。

なお、基準となる返済負担率は金融機関によって異なりますが、額面年収に対して30~35%が一般的とされています。フラット35の場合、基準となる返済負担率は、「年収400万円未満で30%、年収400万円以上で35%」となっています。

例えば、額面年収400万円の方が住宅ローンを利用する場合、返済負担率を35%とすると、年間返済額の上限は140万円まで(月間返済額で約11.6万円)と判断されます。融資金利が1%の固定金利で35年ローンの場合では、借入可能額はおよそ4,000万円程度までと推定できます。

借入希望額から算出された月間返済額が基準を超えた場合は、希望額よりも少ない融資金額で回答される可能性があります。実際は、各金融機関が独自の審査基準で融資金額を決定するため、計算通りになるわけではありませんが、大枠の考え方として、「借入可能額は、返済負担率によって決められる」というポイントを押さえておくと良いでしょう。

借入状況

収入状況と併せて、借入状況も融資可否や借入可能額に大きな影響を与えます。
仮にカードローンによる返済が月々3万円ある場合、借入負担率によって算出した月間返済額から3万円差し引かれ、その金額をもとにして融資金額が決められます。

額面年収400万円で月々3万円の返済をしている方の場合、11.6万円-3万円=8.6万円が月間返済額となり、借入可能額はおよそ3,000万円程度までとなります。

月々3万円の借入があるだけで、借入可能額に1,000万円もの差が出てしまうのです。借入状況についても住宅ローン申し込みの際に申告しなければなりませんが、この時に嘘をついたり隠したりしてはいけません。金融機関は個人信用情報機関(※)から借入状況を調べることができ、虚偽の申告がバレてしまい、心象も悪くしてしまうことでしょう

(※)人信用情報機関について:信用情報とは|指定信用情報機関のCIC

職種や勤続年数

職種や勤続年数も融資判断に影響します。所属企業の規模や財務状況によっては、非正規雇用であっても、中小企業の正社員と変わらないほどの信用レベルと判断される場合もあります
これらの判断は金融機関によって異なり、どの程度影響するのかも明らかにはされていませんが、勤務する企業と勤続年数によって融資判断や適用金利に差が出るのも事実です。

担保価値

住宅ローンを利用する際、購入物件を担保とすることが一般的です。住宅ローンの貸主である金融機関を抵当権者として抵当権の登記をし、万が一、借主が返済不能に陥った場合でも、物件を競売にかけることによって金融機関は融資金を回収することが可能です。

借入希望額に対して物件の担保価値が低いと評価された場合は、融資金額が希望よりも減額される場合があります。都心エリアの物件であれば、担保価値によって減額回答されることはあまり多くありませんが、郊外や地方都市での購入を検討されている方は注意が必要です。

非正規雇用におすすめの住宅ローン

非正規雇用の方には「フラット35」がおすすめです。
フラット35は、独立行政法人である「住宅金融支援機構」と全国300以上の民間金融機関が提携して取扱う住宅ローンです。

フラット35は名前の通り、借入時の金利が借入期間を通して変動しない固定金利を意味する「フラット」と、返済期間が最長35年であること指す「35」が商品名の由来となっています。

フラット35は、住宅供給の安定化および促進のために制度化された経緯があるため、民間金融機関のフラット35ではない住宅ローンよりも融資審査のハードルが比較的低いと言われています。そのため、非正規雇用の方でも、要件をクリアすれば融資承認が下りる可能性があるのです。

また、フラット35は、芸能人や個人事業主でも組めることがわかっています。下記記事から、情報をご覧いただけます。
お笑いコンビ「げんき~ず」宇野さん、住宅ローン「フラット35」で持ち家実現! 芸能人・アスリートの「ローン組めず家を買えない」問題を支援「芸能人・アスリート限定 出張相談サービス」11月11日本格始動:ドリームニュース - Miyanichi e-press

ただし、購入物件に対する要件は厳しく、築古の建物などは融資対象とならない可能性もあります。フラット35の利用を検討される際は、希望の物件が融資要件を満たしているかを事前に確認しておく必要があります。
信頼できる不動産会社に相談してみましょう。

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非正規雇用で勤務期間が短い場合でも住宅ローンは組める?

非正規雇用で勤務年数が短い場合であっても、理屈の上では住宅ローンの利用は可能です。ただし、融資審査のハードルは非常に高いと言わざるを得ません。
民間金融機関の場合、一般的には、「契約社員で1年以上、派遣社員で3年以上の勤続期間が必要」と言われており、それ以下の方は何らかの特別な事情がない限り、融資承認を受けるのは非常に難しいと考えられます。

おわりに:融資審査では雇用形態よりも返済能力が重要視される

融資要件をしっかりクリアすることができれば、非正規雇用の方でも住宅ローンの利用は十分可能です。
非正規雇用は正規雇用に比べて「雇用が継続されるか」という点で言えば劣るのは事実です。しかし、金融機関が融資審査で最も重視するのは、雇用形態が「正規か非正規か」ではなく、「返済能力があるか否か」なので、非正規雇用だというだけで住宅購入をあきらめる必要はありません

キャリアや年収など、ご自身が社会的信用をどの程度有しており、それによってどの程度の借入が可能かを客観的に評価したうえで、物件選びや資金計画を立てることが大切なのです。

監修者コメント

非正規雇用の方でも、住宅ローンを利用することは可能です。ただ、金融機関は「返済見込みがあるか」を重視して審査をするため、どうしてもハードルが高くなってしまいます。「返済負担率」など、金融機関が重視するポイントを理解した上で、今と将来の収入がより安定させられるようにキャリアアップすることや、住宅ローンの借入額を少なくできるよう自己資金を多くすることなどの工夫も大切です。
人生で最も大きな買い物であるマイホームだからこそ、計画的で無理のないプランニングをするようにしましょう。

この記事を監修した人

シニア・プライベートバンカー、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、MBA(経営学修士)横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそ、お客様にとってのメリットを最大化するプランが提案できることを強みとする。保険だけ、投資だけに片寄ることなく、今の生活も将来の生活も可能性に満ちたものにするようアドバイスすることを心がける。

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